Hugin チュートリアル — 建築の投影法をシミュレートする
このチュートリアルでは Hugin のパノラマ作成以外での基本的な利用法を説明します。写真を手持ち撮影し、「鉛直」コントロールポイントを使ってレンズの「たる型」歪みを修正するとともに遠近法の効果を除きます。
註:このチュートリアルは Hugin バージョン 0.7 のベータ版に基づいています。バージョンが違う場合でも、基本となる原理は同じです。
この作例写真 (p1010003.jpg) をダウンロードして自分で試してみることができます。
Hugin を起動し、画像を追加…ボタンで調整したい画像を選びます。
コントロールポイント タブに移ります。
レンズのたる型歪みを補正し遠近感を元に戻すためにソフトウェアが必要とする情報をすべて記入します。
左右にまったく同じ画像が表示されているはずです。関連し合う形状をそれぞれの画像で選んでコントロールポイントのペアにします。
ズームが画面に合わせる にセットされ、自動的に追加がオンになっているのを確認してください。
コントロールポイントを選択するのにマウスが使用できます。左右のウィンドウの両方で確認できる鉛直な形状を選択します。良い位置が選べたらもう片方のウィンドウに移り、同じ形状の反対側の端をクリックします。後から各点をマウスカーソルで選択すると微調整用の小さな拡大表示ウィンドウが開きます。これを最低 3 組のコントロールポイントが出来るまで繰り返します。
ヒント:もしコントロールポイントを正確に選ぶのが難しい場合は、点を選んでから f キーを押すことで「微調整」するとよいでしょう。そのためにはリストからコントロールポイントを選び、f キーを押し、拡大表示ウィンドウとマウスを使ってコントロールポイントの両端を動かします。キーコマンドの詳細については Hugin manual を参照してください。
このチュートリアルでは鉛直な線と呼ばれる特別なコントロールポイントを使います。クリックしてコントロールポイントのペアを選んだ後で、モード:を鉛直な線に変更する必要があります。そのためには、上で述べたのと同様に、リストからコントロールポイントを選び、モード:ボタンをクリックし鉛直な線を選びます。
次に最適化タブに移ります。Hugin は元になる写真の画像の向きとレンズ設定とを調整するような最適化手法をコントロールポイントが揃うまで用います。
位置とたる形歪み (y,p,r, b)を選びます。この例では横位置のずれ (y) についてはどんな値でも「正しい」解になってしまうため、Hugin によって最適化されないことに注意してください。
最適化ボタンをクリックして Panorama Tools がうまい合わせ方を見つけるまで待ちます。完了したらはいボタンで結果を適用する必要があります。
ここまできたら、プレビューアイコン(ウィンドウ上部のアイコンバーで右から3番目)をクリックします。心射方位投影を選び、水平方向と鉛直方向の視野がちょうどよくなるようにスライダーを調整します。また、必要なら中央にボタンで画像を配置することもできます。
ヒント:自動更新アイコンをクリックしてオンにしておくとスライダーでの調整結果が自動的にプレビュー画像に反映されます。
プレビューウィンドウを閉じます。
最後に出力画像を生成します。スティッチャータブを選びます。
投影法が心射方位になっているのを確認してください。出力→通常の下のブレンドされたパノラマを選び、ファイル形式→通常の出力:で好きなファイル形式を選びます。
スティッチングの実行ボタンを押します。
まずプロジェクトファイルをどこに保存するか訊かれます(保存されたプロジェクトは後から Hugin に読み込んで再編集できます)。次に出力画像の(拡張子を除いた)名前を訊かれます。
画面内のすべての鉛直な形状が出力画像では実際に鉛直になっていることに注目してください。
これは建築物の写真を図示するのに非常によく使われる方法です。その理由は、非常に高価なシフトレンズとvertical plane, front rise cameraを用いるしか他の方法がないことだけではないでしょう。
最終結果を以下に示します。この画像では鉛直な形状を修正するためにどう変形されたかがはっきり分かります。もし最終画像を長方形に切り抜きたいなら画像の下の方にスペースをやや広めにとっておくと良いでしょう。
以上で説明した方法は複数枚の写真からなる画像にもそのまま適用でき、円筒図法や正距円筒図法のパノラマで水平線を揃えるのにも重要な役割を果たします — 他の Hugin チュートリアル を参照してください。
Bruno Postle著、2003年10月作成。 Hugin v0.7 に対応するため Terry Duell により2008年5月に更新。北川雅裕により2010年10月に日本語訳。